今年も全ての山に登ります

本年もよろしくお願いいたします。



この1週間、テレビから流れる映画を浴びるようにみた。


アメリ [DVD]
アメリ [DVD]
アメリ

暴力教室 [DVD]
暴力教室 [DVD]
松田優作舘ひろしのデビュー作。なわけで、2人の共演/競演が鮮烈だった。

ションベンライダー [DVD]
ションベンライダー [DVD]

魚影の群れ [DVD]
魚影の群れ [DVD]

帰省先で深夜に連日相米慎二の監督作品特集をやっていた。この次の日が『台風クラブ』、さらに何本かはさんで『風花』へと続いていて、連日地上波で相米作品が見れるなんて、豪華すぎる企画だった。
『ションベンライダー』は永瀬正敏のデビュー作。『魚影』はどこを切ってもひたすら夏目雅子緒形拳のオーラが漂いまくっていて、それがスケールの大きな原作/脚本と相まって、相米作品の中でも代表作なんじゃないかという気さえするんだが、やっぱり世間的には、佐藤浩市がマグロを釣るのより薬師丸ひろ子が機関銃を乱射する方がインパクトが強いのだろう。


風と共に去りぬ [DVD] FRT-100
風と共に去りぬ [DVD] FRT-100
初見。500YENで買えそうなDVDのジャケだ。オハラの性格の悪さを延々と見せられて、最後にはもう脱力。主人公としての求心力がどの辺りにあったのか、ということを考えたとき、この映画の重大な欠陥が見えてくるような気がする。


サウンド・オブ・ミュージック (ベストヒット・セレクション) [DVD]
サウンド・オブ・ミュージック (ベストヒット・セレクション) [DVD]
本当に久しぶりに見たのだけれど、やはりミュージカルもののマイランキングにしっかりチャートインしてくる作品であることを再確認。「エーデルワイス」のシーンが印象的。でもやっぱり『ウエストサイド』とか『ヘドヴィグ』とか『屋根』とか、男気の勝ってるものが上位にいく。

松本明子や伊集院光が端役で出ていました

伊丹十三DVDコレクション スーパーの女
いつからわからんがBS2で伊丹十三特集をやっていて、今日はその4回目か5回目。「スーパーの女」ははじめて見たのだけれど、あまりにタイムリーなトピックでさすがにゾッとした。食肉偽装、賞味期限/消費期限不当表示、こういう問題を「映画」のジャンルにおさめて10年前に提示していたこと自体が驚き。
映画自体は、しがないスーパーが苦境や逆境を乗り越えて最後にはサクセスするという「タンポポ」方式。「タンポポ」でスーパーのシーンが出てきたときに、そのときも店員役が津川雅彦で、店員が深夜のスーパーの中で侵入者を追いかけるというシーンなのだけれど、それを見たときに、ああこの監督は絶対スーパーのことが好きだなと思った、なんとなく。そういう愛着のある撮り方をしていた。はたしてそれが昇華されまくって「スーパーの女」に結びついたのだろう。

しょぼいヘビメタバンドのジャケみたいだけどさ

金沢に行く前に、本当はアンダーワールドのライブ盤を買おうと思っていたんだけど、いろいろ試聴して、結局買ったのがこれだった。
MIRACLE(初回生産限定盤)(DVD付)(紙ジャケット仕様)
MIRACLE(初回生産限定盤)(DVD付)(紙ジャケット仕様)
久しぶりにベンジー関連の音源を買うなー、とか。AJICO以来か?単純に、気分的にフィットしたのと、なんというか最終期ブランキーに近い「親しみやすさ」みたいなメロディアスを抱えつつ、全体としてはやっぱり寒々しい雰囲気を作ろうとしているところがヒットした感じ。
おまけのDVDは、これまでのPVがたぶん全曲おさめられていて、それはそれで嬉しい感じ。シャーベッツのPVは結構よいし、そういうのをいちいちyoutubeでチャンネル作ったりするのは最早めんどい。

フィンガープリントとアベサダ

25,26と2日間金沢に行ってきたのですが、その話はまた別記しましょう。今回もいろいろ収穫がありました。で、そのとき21C美術館でやってた展示がこれ。
金沢21世紀美術館 荒野のグラフィズム:粟津潔展
前情報ほとんどなしでいったら、けっこう好みのデザイナーでなかなかよかった。共産党員からムサビの講師になって、っていう経歴がなかなか奇抜。勅使河原宏の映画タイトルをほとんど手がけていて、それを片っ端から流していたのをずっと見ていたら、ほかをゆっくり見て回る時間がなくなってしまった。ほかには「中国女」やマースカニングハムのポスター、大量の本の装丁など商業作品も手がけつつ、映像作品もいくつか制作していて、拠り所はないものの、強烈な「個」への執着というテーマがそこここに見え隠れする作品群が興味深かった。
山下洋輔が消防服のヘルメットをかぶって燃え盛るピアノを弾きまくる「ピアノ炎上」が痛快すぎて傑作。こちらで見れます。
http://www.kiyoshiawazu.com/jp/works_movie.html


粟津潔荒野のグラフィズム
粟津潔荒野のグラフィズム
いつぞやのホイットニーミュージアムでは勢い余って図版を現地で買ってしまうという過ちを犯しているだけに、今回はしっかりと東京に戻ってきてから購入。こういう、ある程度流通のいき届いた商品だったりすると、本当に助かる。逆に、dia:beaconのカタログなんかは日本ではほとんど売ってないので、どうにかしてでも買ってくるべきだったのだないう思いがかなりある。

光のロックは風のロック

サンボマスターには、「あつくるしい」「むさくるしい」というマイナスイメージがなんとなくついてまわっているような気がして、個人的には敬遠しているのだけど、そういう彼らの持ちうる負の要素をことごとく振り払おうとしているPV。

曲調は初期ナンバーガールから毒っ気を抜いた感じで、いかにも売れそうではある。夜のトンネルや、目映い閃光など、曲の疾走感をイメージした映像で、徐々に昂揚感が高まっていったところで、あまりのすがすがしさにボーカルの眼鏡氏がとうとう安めぐみに見えだしてしまうという、一種のサブリミナルPV。安めぐみが、演技がうまいようにさえ見えてしまう演出の巧妙さがあり、加えて手持ちのカメラをうまくつかい、大胆な編集で曲の勢いをそのまま保っている。ディレクターは箭内さんです。

生「おじいさん先生」

SAKEROCK@東京キネマクラブ。
鴬谷の駅に降りるのなんて、一体何年ぶりだろうとかおもいつつ、とってもケバケバしく華やかなラブホのネオンを視界の隅から追いやり、会場のビルを発見。会場の東京キネマクラブというのはもともとキャバレーだった場所の内装を保存して、現在は映画の上映やライブイベントなどを行っているということらしい。先月末にはコンドルズも使っていたし、明日からはエゴラッピンが3日間ライブをする。レトロ感全開の場所だったので、エゴのライブはちょっとみて見たい。
http://www.kinema-club.com/top_set.html
ところでサケロック。最初のアコースティックセットは本人たちはもとより客も少し戸惑いがちだったけれど、途中からロカビリーバージョンやったりしてだんだん緊張がほぐれてきて、セットチェンジを挟んで第二部のノーマルセットでは本領発揮。そしてラスト、いつものようにアンコール「スーダラ節」だけで終わりかと思ったらまたセットチェンジがあって、そのあと驚愕の第三部、現役高校生の生合唱にはかなり度肝を抜かれた。なかなか粋なことをやってくれた。唄う生徒たちの表情が非常に豊かで純粋で、それぞれに楽しんでいる様子がうかがえて見ているこちらもなんだか良い気分になった。
ところで、セットチェンジのときのハマケンのパフォーマンスは、あれだけでロマンポルシェに相当するクオリティがあるような気がした。なんとなくね。

チェチェチェチェelfitsch

『三月の5日間』森美術館
http://chelfitsch.net/12135.html
彼らの公演を見るのは、あれは確か「目的地」だったと思うけれど、そのプレビュー公演的な、NYKホール2Fでのワークインプログレス的なお披露目以来のことになる。その概ねの印象としては、もうはっきりいって清々しいくらいに彼らのやり口が少しも変わっていなくて、少し安心した。彼ら(あるいは彼)は、演劇であることの必然をぎりぎりのラインで、かつ特異的に獲得している。その手法がさらに多くのオーディエンスに受け入れられていくことを願うばかり。
今回、背後にプロジェクションされる字幕がなくてなんとなく寂しい思いをしたのだけれど、最近はもうやっていないのだろうか。