宇宙人と理髪店

うなぎ [DVD]
うなぎ [DVD]
第50回(1997年)カンヌ国際映画祭パルム・ドール。ちなみにこの年のカメラ・ドール(新人監督賞)が河瀬直美。「萌の朱雀」は何度か見てきたけれど、「うなぎ」は今回初めて見た。悔恨先に立たずベカラズ。
一つの出来事をきっかけに心を深く固く閉ざしてしまった主人公が、ある女性と出会って、少しずつその扉を開いていく…というステレオタイプな図式におさまるかと思いきや、そうはさせない、といわんばかりのどろどろした怨念やカネの生臭さ、人間関係の泥臭さが描かれていく。柄本明のキレた芝居と爽やかな清水美砂が必見。
短絡的な印象をいうなら、床屋という職業、スペースに人物を追い込むのはすごくスリリングで、そこはある意味一つの芝居小屋のように使うことができるのだから、見る方も撮る方も勝手が良い。ルコントの映画を久しぶりに見たくなりました。