コニタンがよかった


「叫」
シネセゾン渋谷で見てきました。あれこれ言うその前に、そもそも葉月里緒菜のキャスティングに疑問を投げかけておきたいです。彼女だけ台詞をアフレコにしなければいけなかったのは物語の構造からいって納得できるのですが、その台詞がことごとく平板な響きで、アフレコであるという技術的な違和感を超えたレベルでの凡庸さを感じてしまいました。ただ、その棒読み加減すら計算のうちなのだとしたら、それこそまさに脱帽してしまうところですが、それにしたって、「芝居をしている」小西真奈美と比べると、役柄の違いこそあれ、赤い服の女の醸し出す雰囲気の軽薄さが目につきました。
「自分以外に気を使おうとしなくなっている現代社会の人間たち」への警鐘、みたいなことをホラーとサスペンスの両方のテイストでやってみたという感じだったと思うのですが、一にも二にも叫び声やら赤い女の所作やらが逆に耳障り目障りになってしまったのが少し残念です。黒沢作品は映画の構造で魅せるタイプなので、俳優女優はコマ以下、そこに映っているのかも分からない扱いにすら見えますが、そんな状況でもきちんと居場所をつくれるのがプロフェッショナルなのではないかなと思います。