現役引退の報に寄せて

「モチベーションが後ろ向きでも、強ければいいんです。」('97/12/08、ニュースステーション出演時のインタビューにて)
いわゆる"ジョホールバルの歓喜"の直後に語られたこの言葉は、「練習を早くやめたいから試合で頑張った」という、考えてみれば至極シンプルで、かつ説得力も十分持ち合わせる、試合直後のインタビューを裏付けた彼の持論です。
それ以来その言葉は、私の頭の中にずっと留まり続けてきました。彼の姿をブラウン管で認めるたびに、何か特別な思いがなかったとは言い切れません。今回の大会に関しては、何か積極的に「憎まれ役」を買って出すぎているような気がして、少し気がかりでもありました。彼の力がサッカーというフィールド、そして日本代表という名誉あるチームで存分に発揮されなかったことは、思うにその多くが周囲の人間にとって大きな課題になるのでしょう。ブラジルのユニフォームを被って「日本」を、「サッカー」を捨てた男は、後ろ向きのモチベーションでこれからも旅を続けます。
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