ヨコトリ


天気はよかったのですがこの時期はとにかく寒さが問題ですね。ゲートが屋外であったり、展示会場へのアクセスが優れていなかったりするのなら、スタッフがそれ相応のサービスをもって来場者に応えてほしいのですが、来場者同様にスタッフも寒がっていたり、あるいはそれ以前になぜか軽くキレていたり(いわゆる逆ギレですね)、ちょっと気勢をそがれる感じでしたが、それはともかく、メイン会場しか見に行っていない上での率直な感想なのですが、準備不足という部分があったとしても、鑑賞者に向き合う姿勢のようなものが主催者側に少し抜け落ちていたような気がしました。そもそも、規模の大きな美術展である以上、「どこで」「なにを」見ることが出来るのか、それをもう少し明確に指示してほしかったと思うのは自分だけでしょうか。ゲートで渡される地図の大きさ、折り方、デザインは、本当にあのかたちがふさわしかったのでしょうか。公式HPに関しても、トップページはまるでどこかの行政のデザインのような固さを感じてしまいます。この手のイベントのサイトを見る人たちの大部分の知ろうとしていることは、「地図」「何時から何時までやっているのか」そして繰り返しますが「どこで誰の作品を見ることが出来るのか」に尽きるといっても過言ではないような気がします。ディレクターのメッセージなぞは正直どうでもいいことなのです(もちろん大事なのですけど)。

(Bar Rectum)
会場内には100台近いipodを天井から吊るして反響音を拾っていた作品、巨大なブランコのような作品、イントレ風ジャングルジム通路?など、コンテナの天井の高さを活かした効果的な作品がいくつか展示されていたました。また、あちこちに設置された3Dライクの双眼鏡(昔よくデパートの屋上にあったのをもっとおもちゃっぽくした感じ)、などその場所をうまく利用していたものが印象的でした。タイヤを削り続けるだけの作品や、公衆電話を何台も配置して、電話口からは"ある母親"の独り言が聞こえてくる作品などが自分の好みなのですが、規模が規模なので、やはり様々な人たちに見てもらえる作品が集まっているなあということは感じました。ただ、やはり前回と較べたときに作品のスケール面における小ささは否めないような気がしました。アートはもはやホテルにバッタがくっついているような非現実的な感覚の世界のものではなく、もっと地に足のついた、我々のすぐ隣の、すぐ近くの視点から生まれうるものなんだよということを言いたかったのかもしれません(見に行かなかったのですがバンクアートの展示では特にそのような主張があったのでしょう)。非日常的な世界の"オブジェクト"に触れて、刺激を受けるということを(受け手にしても作り手にしても)意識している人間としては、少し考えさせられる企画であり、あるいはそういう流れがここにも("も"としたのは、さいきんお芝居を見ていると、日常の風景をテーマや舞台にした作品が非常に多いのです)あるのだなとあとから気づかされました。
横浜、という場所は、東京との位置関係などを考えたときに(他の"地方"と違って、横浜の場合「なぜここででやるのか」という意味づけからはじめなければならない、"特殊な地方"なのです)非常に微妙な場所柄なのですが、それ故に唯一無二の存在になりえるはずだと思います。横浜出身の一人として次回も期待したいです。