『夢の中へ』@テアトル新宿


中途半端な邦画をかけることにおいては日本一の手練といっていいテアトル系劇場ですが、今回の作品はそれなりに見所があって、前座のお笑いや効きすぎた冷房の寒さも忘れさせてくれたように思います。
いつも同じ感想ばかりのような気もしますが、脇を中心に役者さん達が非常にのびのびと動いていて良かったと思います。ムラジュン/市川姉/オダジョー/ヌクミズさん/岩松了、それぞれよかったけれどやっぱり歌う麿さんが非常に味がありました。主役の人は、シーンによっては芝居がぎこちない部分があって、全体を通してみたときにクオリティの面で波があったのがちょっと残念です。
「夢」というテーマでは、個人的にすぐ思い出すのが「夢小説」原作のあれとか、外国の映画ではわりとモチーフにされることがなんとなく多いような気がします。この映画の場合、テーマをそのまま陽水の歌に持っていってしまう安直さや(しかもエンディングで歌っているのがなぜ河瀬直美とHAKOなのか、それがこの映画における最大の謎)、時間や予算などの理由から照明を使っていないことなど、ところどころにどうにもあか抜けないインディーズっぽさがあって(自分が言うのもなんですが)、でもそれらに対して監督本人は意識はしているけれどさほど抵抗はしていないんだなというのもわかりました。
ただやっぱりDV撮影でDLP上映ってなんだか味気ない色味になってしまいますね。そのことのほうが今後の懸案かもしれません。