気をつけっぱなし

『右側に気をつけろ』

ゴダールにしては滔々とした印象が薄く、どちらかといえばスカっとする観賞後の印象。窓のこちら側とあちら側を隔てる「何か」なんていう、個人的にはタイミングよすぎなカットの乱発にちょっとはっとさせられたり、リタミツコの演奏風景やジェーンバーキンの、存在するだけで空気の流れを止めたり淀ませたり膨らませたりできるような佇まいをじっと観察したり、飛行機の中や電車の中での主人公たちの(JLGの監督役が普通によかった)やり取りを眺めたりしながら、頭の中で思考が飛び火していくのをとりあえず放置しているうちに、彼の映画はやはり「作り手」として見るから面白いのであって、「娯楽作品」の類として鑑賞できる人はある意味器用だよなあとか思うのでした。この作品はハスミさんが字幕を担当していてちょっと驚き(他にもありましたっけ)。