覚醒の域

OUTSET
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タイトル「着手」の意味の通り、前作『9 9/9』までの「情けなくてもいいだろ、俺(たち)」路線(社会にしろ自分たちにしろ"行き詰まった感"をそのままさらけ出し、それがソウルセットとしてのオリジナリティを獲得していた時期)から、現実と向き合った、とまではいかなくとも、少なくとも逃避的でもシニカルでもなくなった新たな音楽性、メッセージを彼らが構築し始めた記念すべき最初のアルバム。今までの、ある楽曲を大胆にサンプリングするなかで独自のフックを生み出す手法ではなく、ここ数年のDJ活動の中で自然に身に付いたフレッシュかつ同時代的な4つ打ちのリズムを用いる川辺氏のトラック構築の手法の変化が影響しているんじゃないかなあとか思いました。アルバムとしてのまとまりは(とくに前作までのいい意味でのぐだぐだぶりから較べても)格段にひきしまっていて大変聞きやすく、そのあたりにも彼らのユニットとしての成長ぶりが窺えてなんだか感慨深いです。