借景展@東京日仏学院

こんなところで展示も何もあったものか…?と思ったらなかなかどうして、そのとけ込み具合といい作品の雰囲気といい非常によく馴染みつつも表現としての主張は忘れていないところが流石でした。「時積層」のほうは紙が積まれていくことで時系列の重なりを端的に示しつつ、絵や文字が自由に書き込まれた紙がアクリルの筒に取り込まれるということによって、見る側の人間自身もその時間軸の一部であることを感じさせてくれました。「Muzucks」はマグカップだけがモチーフなのですが、それをここまで昇華させるセンスというかコンセプトパワーに感心しました。好きなものをアンケート形式で来場者に書いてもらい、それをテレビのブラウン管にスライドプロジェクタで映し出す。ブラウン管にはプロジェクタの周期と外れるタイミングでマグカップを持った人やマグカップのある風景が次々に映し出されます。封じ込められた世界と更新され続ける世界の対話、ズレが楽しめて非常に興味深かったです。2Fにあった「Brazil」も、きっとあんまりにいろんなヴァージョンがありすぎるのだろうあの名曲からコンセプトをふくらませまくった作品、素直に楽しめました。