「火星年代記」reset-N、@横浜赤レンガ倉庫

原作ものを舞台に起こす作業というのは、ベースがあるという点ではメリットがあるが、ともすると原作の全て(世界観や、台詞や、微細にいたる全て)を舞台に持ち込まなくてはいけなくなるというリスクも背負っている。観劇中、中学時代に井上ひさし氏の原作(「ひょっこりひょうたん島」)から舞台用に脚本を書いたり、映画「ロビン・フッド」をノベライズする形で脚本を書いたりした苦い思い出(どちらも不完全燃焼だった、特に後者)がなぜか蘇ってきたりした。最近では友人の劇団の主宰が「管理人」という戯曲を編集して短編の舞台に仕上げていて、それはなかなか見せられるものに仕上がっていた。編集というものの魔力というか磁力をここにきて思い知る次第。ちょっと話はそれるけど松岡正剛氏にもう少しで縁がなかった自分にも思いを馳せてみたり。
というわけで舞台の方はブラットベリの幻想に乗っかって何処まで行けるかしらわたしたち、という感じで、イデオロギーまでSFになってしまってメッセージが宇宙の彼方に雲散霧消してしまっていました。細かいことですけど発声とか滑舌とか、もうちょっと迫力がないと赤煉瓦では役者が生きないですよね。シンプルなライティングと音響も逆効果でした。全体的なセンスは嫌いではなかっただけに残念です。