WIRE04

main_stage


18時45分頃、駅に到着。改札を出てすぐ「チケット譲ってください」の紙を手にした女性が目に飛び込んできて、前売りを手にしていない身としてはにわかに不安になる。懐かしき緩やかなスロープをのぼり、ダフ屋の「余った券買うよー」というぼやき声や「10,000円?そんなんじゃ誰も売らないよ!」という怒号を背にし、数年前の「当日券売り切れ」という悪夢が少し頭をよぎり始める。が、2DAYSの成果かどうなのか、無事当日券を購入。いよいよ、なつかしの横アリ。
とりあえずメインステージ、モニカ・クルーゼ。いきなり盛り上がっている。kagamiまでは様子見でメインにいるかなと思ってたけどがっつり踊ってしまった。「born slippy」サンプリングした曲とか、ホントあげ方を心得てる感じで、トップバッターにふさわしかった。
kagami。去年から格段とライブのレベルが上がった印象。ライティングとも相まってエンターテインメント性がアップ、構成もより器用になった感じがした。
で、ここで少し休憩、ロビーへ。横アリのロビーはなんだかいろいろ懐かしい(成人式とか)。基本的に煙いんだよなーと思っていたら今回は分煙がきっちり出来ていてとても好感が持てた。とりあえずビール、それと焼きそばでエネルギー補給。
20時過ぎてセカンドが開いたので少しのぞいてからメインへ、卓球のDJをフルで。確かに技術はあるのはわかるんだけど自分の中で一番にはならない、というのが卓球のDJ。この日もそれはかわらず。いろいろ趣向を変えつつやっていてそれなりに楽しめたのだけれど、そこまで印象には残らず。「もっていかれる感じ」がないからかもしれない。
卓球の間にだんだんとフロアに人が詰まってきて、いつの間にか真ん中エリアの最後方に。で、いよいよビタル登場。初ビタルにしてラスト、それを思うとちょっと感慨深くもなってしまったが、そういう次元ではないところで彼らのパフォーマンスが本当に素晴らしく、なんというかほとんど泣きそうな感じでずっと聞いていた。「halcyon +on +on」「chime」そしてはじめてビタルを知るきっかけになった思い出の曲「the box」もライブだと全く印象が違い、さらにインパクトか増幅された感じがした。最後の曲が終わり、暗闇で動き回る4つの電球が消えてしまうと、ああ、彼らはもう戻ってこないのだという思いだけが自分の中に留まっていた。後ろでは次のDJ(なんか「lithium」とかかけたらしいけど…)がレコードをかけ始めたが、しばらく何も考えられず、とりあえず呆然とするしかなかった。

このあとセカンドに直で行ったらなんと入場制限、詳しくは書かないけれどあの構造で人を入れてなにかをしようって方がおかしい。宇川の映像も、なにかおかしい。いや常識的に。で、タイカレーとビールで心身充電しつつセカンドの近くにすわってフミヤのDJを最後の方まで。スタイルを貫けばいいのに模索しすぎてかなり混乱している、この人も。まさに、カオス。名は体を表すということですか。
で25:30頃にメインに復帰、ルーク・スレーターでひと踊り。26時過ぎにジェフミルズかかってからの、旧き良きハードミニマルよもう一度みたいなノリがたまらなかった。でalter ego、途中までおとなしかった?のが例の「rocker」あたりで本領発揮してちょっといい感じだった。しかし今回「rocker」はモニカがかけて卓球がかけて最後にオリジネイターがパフォーマンスするという訳の分からないヘビープレイぶり、一時期のwhite stripesみたい。今回も誰かかけてたけど。
でそのあとのクリス・リービングはミニマル全開でこれは踊れる!やばい!と思いつついろいろあとのことを考えて(といってもこの時点で27時なわけだけど)ひとまず休憩。休憩というかこの時間はthird areaにいってpioneerのDVJいじり倒してた。もうあんまりおもしろくてスクラッチしまくってたらブースのひとがすっ飛んできたのですぐ知らぬ顔で普通にループ作ってみたりとかしつつ、まあとにかくあんなものが東京中のクラブに流通した暁にはなんというかとんでもないことになる、まじで。そして、この時点ではまだ自分の中ではぼんやりしていた一つの「方法論」を、数分後にひとりの宇宙人が見せてくれた。
簡単に言うと宇宙人は自分のDVDや映画「メトロポリス」の映像にトラックをのせてDVDを焼き、それでDJをした。だから映像と音楽はリンクするわけだし、「the bells」のPVなんかはとても印象的だった。だが彼の試みは飽くまで一つのパターンで、音楽の側からのアプローチに過ぎない。映像の側からあのハードにアプローチしたとき、どのようなものが生まれるのかを試してみたい、もしくは見てみたい気持ちはある。DVJは決してDJのためだけのものではないと思う。それはつまり、DVDというメディアが、表現の場を開拓してくれていることを意味する。DJにとってのDVJの必要性というのは今回のジェフ・ミルズのプレイでむしろ疑問符が付いたと思う。ただ彼は今後一層映像の分野に踏み込んでいくようなので、次回どのような形になるのかは気になるところ。
とかなんとかいいつつ、はじめ思いっきり踊らされ、途中からは例の「もう身体はついて行けないんだけど頭で踊ってる」状態だった。ジェフは朝の6:40くらいにプレイを終えて客電も上がったのだが、そのあと卓球が出てきて20分ほど廻し、結局終演は朝の7時。まるまる12時間、まさにレイヴパーティーを満喫した感じ。今回はセカンドがほとんど死に体だったにも関わらず非常に密度の濃い体験ができた。ビタルのパフォーマンスが一番大きいけれど、何より横アリの安心感みたいなものがあった。来年は心身鍛え直して2日間参戦したい。