アート?〜滞在することの意義

yubiwan


指輪ホテル『情熱』をチャーターバスセットで前橋のフリッツアートセンターというところまで見に行く。廃倉庫を改造した芝居小屋みたいなもので、「アートセンター」というにはおよそ硬質的なコンクリむき出しの、寒々とした作りの建物。バスを降りていきなり、少し不安になる。
がしかし、作品(脚本)の完成度は、今回はかなり洗練されつつ高い次元のものになっていて、舞台装置も含めて「見せる」ことに対して高度に自覚的な指輪らしい舞台だったということができる。問題はこれが前橋だったということで、スタッフや役者(半分)を現地で集めるというソースの現地調達(この作業自体よく耳にすることだし"それ"っぽいことだが、その必要があるのか果たして吟味をしたのだろうか)、ここに少し難あり。羊屋氏本人の言葉をウェブで見かけたがやはり前橋(地方)の演劇人口は東京に比べると少なく、今回の参加者もほとんどが素人だという。実際に見てみて(そういった前情報もあるだろうけれど)やはり以前から指輪の作品に出演している役者、つまり都内で活動してる俳優さんたちと、前橋で募った俳優たちとは劇場フロアの真ん中を流れる排水溝のごとく歴然とした「ライン」があった。彼らを分けるものは一概には語れないと思うし、まして「素人」の自分があれこれ語れるものではないが、観客に対して伝わってくるもの、ハングリーさに関して「指輪」の女優さんはやはり突出していないといけないのではないだろうか。女性としての誇りとプライド、同時にジェンダーの枠を突き破れない劣等感。まあそういう世界観(価値観)だけは正直言って大嫌いなのですが。今後も機会あれば見ます。