中途半端に映画を作るならいいテレビをつくれ

レイクサイド マーダーケース [DVD]
レイクサイド マーダーケース [DVD]
青山真治監督、東野圭吾原作、役所広司主演。と聞くとなんだか普通にヒットしそうな感じの映画ですが、都心では公開当時わずか2週で打ち切りになっていて、一体どういうことなんだろうと。物語の中核を担うシーンが残酷な描写であるが故にR指定になっていることと、打ち切りはもしかして関係があるのだろうか?あるいは物語そのものの設定自体に問題が?とか、いろいろ勘ぐってみたり。
気になったのは、そもそもメジャー志向があまりなさそうな青山監督がなぜ100%フジ出資の映画を撮っているのか、という問題。このあいだ見た「叫」ではTBS/黒沢清についてほぼ同じことを考えましたが、メジャーで撮ると金は不自由しないけど仕事は不自由になるっていうのはやっぱり必然らしく、普段の青山作品ならもっと音楽を抑えめにして、照明もガンガンあてたりしないし、そもそもこんな豪勢なログハウスは建てないだろう。
もちろん、メジャーの恩恵はもちろんあって、薬師丸ひろ子の演技とか、これは予想だけど大変すばらしい原作とか、そのあたりはたぶん亀山千広(名指し)が持ってきたんだろう。でも素材を持ってきておいて、映画を売る努力をしないというのもおかしな話だ。原作は「レイクサイド (文春文庫)」なのに、「マーダーケース」をつけてサスペンス系で売ろうとしたのは果たして正しかったのだろうか。この話の本当の芯にあるのは、殺人事件が起きてその犯人を見つけ出すとか、そんなクリアなストーリーではない。いろいろひっかかりすぎて消化不良になったあげく、東野圭吾の強いメッセージだけがやたら伝わってくる映画。