実際、ペネロペもオリジナルの方が若干よかった

バニラ・スカイ [DVD]
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OPEN YOUR EYES」を見たときは「人生はやり直しが利かない」というメッセージを受け取った気でいましたが、リメイク版のこちらでは、逆に「何度でもリセットできる」というメッセージが軽々しく強調されていて、今ひとつ説得力に欠けていました。冒頭のタイムズスクエアのシーンなどは確かに見応えがあるのですが、肝心の「メイク」が今ひとつ迫力不足で、素の顔との落差に欠けていたのが少し残念です。トムクルーズの映画はあまり見たことがないのですが、同じ仮面を付ける作品でいうならEWS(キューブリック遺作)の方が断然いい演技をしていたような気がします。ペネロペクルスは、オリジナルにも同役で出ていますし、繰り返しになりますが、ラテン系にしては珍しく美貌と演技力のバランスがとれていて、なんというか文句なしです。
映画冒頭Radioheadが流れ始めたときは「これは…」と思ったのですが、カット割りの粗さやストーリーの平板さがその期待を次第にそいでいって、それでも脚本の訴求力が作品を最後まで見せるコンテンツに仕上げていたような印象です。適当にオリジナルのエッセンスをちりばめてあとは好き勝手につなげていってもこれはなかなかいいリメイクというものはできない訳で、そこがリメイクの楽なようで難しいところです。ただハリウッドの作品としてはそれなりに見れるレベルなんではないでしょうか。劇中音楽は半分に減らしてもいい気はしましたけれど。*1

*1:トムクルーズが手術を受けるシーンでちょろっと唄う「one of us」は良かった。ジョーンオズボーン、鼻に牛ピアス。名曲です。