終わらない歌を唄おう

リンダリンダリンダ [DVD]
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何がズルいって、ペドゥナの前髪の不揃い具合がズルいのです。その前髪でもって、それから軽めの上目遣いでもって、ネジが3,4本抜けちゃった感じの女の子を演じているのが個人的には非常に印象的でした。そのキャラクターは前作でいう尾野真千子(家出娘女子高生)からの路線="世の中のステレオタイプな女の子"から少しでも外れようとする人物像で、この作品で重要なのは、その「非ステレオタイプ」(ドブネズミみたいな美しさともいいます)性を、主人公だけでなく「バンドのメンバー」や「クラスの女子」「校内の女子」に少しずつ分散させている点です。ただ香椎由宇の女子高生役は正直どうなのかと思いましたが。
「ハコ舟」「曇天」「リアリズム」と作品を重ねるにつれて、山下監督の持つ泥臭さが良くも悪くも洗練されてきて、その点はやっぱりちょっと物足りないよなあ、とか。でもラストのライブ演奏シーンはとても良い演出で、なぜか「台風クラブ」を思い出させるカットが紛れていたりしました。一つ引っかかったのは、エンディングにカバーではなくオリジナルを流してしまっていたことです。最後ばかりはまとまりがつかないと判断したのでしょうか。