アメフト狂のママ

バッファロー'66 [DVD]
バッファロー'66 [DVD]
1966年以来スーパーボウルでの勝ちがないバッファロービルズに入れ込んでいて、旦那のことや刑期を終えて帰宅した息子のことはそっちのけでアメフトのテレビ観戦に夢中の母親。スポーツに夢中になるのも結構ですがこういう形のネグレクトは御免ですよね。旦那までネグレクテッド。
先日深夜にケーブルテレビでやっていて、実は初見だったのですが、「ブラウン・バニー [DVD]」よりもストーリーに起伏があり、またそこに幾分かのコミカルさも含まれていたというところがこの作品のキモのような気がします。ともするとアキカウリスマキ系、とまではいきませんが、お父さんが自宅の2Fにクリスティナリッチを連れて行って昔の持ち歌を唄うシーンや、ボーリング場でクリスティナリッチが踊るシーンに見受けられるような、ちょっと時間が止まった感じの演出は印象的です。ひねくれた性格の男がねじれた人生を迷い歩くさまが非常に良く表現されている脚本で、それを演じるギャロ自身も頼れるのか情けないのかよくわからない男を好演しています。
気にかかったところをあげるなら、主に回想シーンの導入に使われていた画面中央からのゆっくりしたズームイン/ズームアウトカットはもう少し工夫できたような気がします。それすら「個性的」の範疇に入れてしまえばそれまでかもしれませんが。