Be brave.

モーヴァン [DVD]
モーヴァン [DVD]
元々のタイトルは「MORVERN CALLAR」(主人公の女性の名前)なのですが、「カラー」というのが日本語でいうところの「色」なので紛らわしいため、このような呼び捨てタイトルになったのでしょう。しかしこれ、ただ無意味にフルネームを映画のタイトルに冠していたのではなく、自殺してしまったボーイフレンドが書き遺した小説の著者部分を自分の名前("MORVERN CALLAR")にタイプし直してしまう…という重要なシーンからとられているのが明白なので、出来れば邦題もフルネームにしてほしかったところです。
本編は、喪失感を抱えたまま僕たち私たちは生きていくしかないんだよ、的なまさにシネマライズ系ど真ん中の青春系空洞もので、選曲のセンスの良さとサマンサモートンのつるりとした美しさがなければ正直なんてことはない作品ですが、とにもかくにもVUの「I'm Sticking With You」をこんなにファンシーにかつピンポイントに使ってくる瞬間に出会える映画はあとにも先にもこの一本だけです。
モーヴァン [DVD]
余談ですが、DVDは当初リリースされたオフィシャル盤と、1年半くらい後に発売された日本盤があって、渋谷蔦屋などでは日本盤リリースの際に「強く生き抜く女の子」とかなんとかPOPをつけてコーナー展開されてました。商魂でパッケージ再発注されるのはコンテンツの拡大再生産としてポジティブに捉えるべきなのか、オリジナルの侵害だと踏ん張るべきなのか。なんとなく後者に分が悪い近頃の世相ですね。でもこの日本盤のジャケは相当苦心した跡が見えてしまってなんだかなあという感じです。