『心中エレジー』@渋谷シネ・ラ・セット


こちらも同じく「時間軸解体してキャラごと見せます系(長い)」映画。上映前に主演の俳優さん(『運命じゃない人』にも出てたらしいのですがすいません、どうしても思い出せないのです)ともう一人脇役の俳優さんがトークショウ。来週月曜だったら小山田サユリ長塚圭史だったんですね。それにしても上映前だからってあそこまで作品のこと喋らないのはどうかと思いました。二人のなれそめの作品だという『血と骨』の話ばっかり、というかほとんどそれだけ。自分の出た作品には誇りを持ってほしいですね。人前に出ている以上は、嘘でもいいので。
主役の俳優さんはいろいろな作品に主役張ってて結構引っ張りだこ系らしいのですが(でも自分は初めて見ました)、目力以外はとりたてて訴えかけてくるものを感じることが出来ませんでした。たまにいい表情してましたけど。それより何より、小山田サユリはセリフを喋ったらいかんですね。役者としては素人だけど、持っている雰囲気が一級品ということで監督にモテてるんでしょう。一番最後とかも、あれは恐らくオフショットですよね。あの感じをもっと活かさないと、カメラのこちら側とあちら側とも互いにメシ食っていけないですよね。そういう意味ではいろいろと恐ろしいはなしです。
運命じゃない人』と作品の出来を分けているのは主に映像のクォリティかなと思いました。『心中〜』も平均したときに役者さんの演技は悪くないのですが、カット割りと映像の粗さ、テーマの凡庸さが全体のイメージを自主映画っぽくしてしまう。そこにもってきて小山田サユリの平板なセリフがかぶさると、これはもう決定的に軽薄な印象を持たざるを得ませんでした。もう少し脚本を練って、タイトルもこんな暗さ一直線のものでない方がよかったかもしれないなという感想です。