『運命じゃない人』@ユーロスペース


途中までイメージフォーラムに向かっている自分に気がつかなくてかなり愕然として、宮益坂の途中でしれっと引き返しました。キアロスタミの『10話』以来?それすら定かでないユーロスペース(結構行ってるはずなのだけれど…)。
時間軸を登場人物の行動に沿って解きほぐしていき、それをバラバラにして見せていくというやり方は、ギャスパーノエだったり、デヴィッドリンチだったり、海外の監督さんは結構よく使う手法ですが、日本の作品ではあまりそういった類のものを見ないような気もします。わりと演劇的な手法なので、映像の世界で混乱した時間軸を構成しようとすると、役者やスタッフへの説明はともかく、撮影の順番(順撮りであってもいわゆる「順」ではないので云々)、編集での時間軸の再構成など、気を使わなければいけない点がもりもり出てきてしまい結構大変そうです。
カンヌで話題になったこの作品は、脚本が良く練られていて、作りも丁寧、役者さんの演技も好感触、リンチほど頭の中を掻き回す感じではなかったのですが、スマートに絡まった?人間劇といった趣で楽しめました。というか板谷由夏さんがやはりよかったです。その他男性陣もそうですが、それぞれの役がわかりやすくキャラづけしてあったので、演じる人もやりやすかったのではないでしょうか。構成については、ブロスのインタビューに監督が「ソナタ形式で作った」と答えていたのが成る程と思いました。以外にシンプルなんですよね。