『ヴァンダの部屋』(dir.ペドロ・コスタ)

vanda


1日なので安いかと思ったらイメージフォーラムは対象外だった。思えばここも久しぶり。予告編では『リアリズムの宿』が気になりつつも本編へ。

壊れゆく街の一角、一つの家族のあまりにも"自己破壊"しきった状況は、ただただ好転も悪化もすることなく皮膚の下の古い傷跡のように疼いたままである。カメラはそんな状況と周囲の風景を分け隔てることなく淡々と切り取り続ける。フィクションとルポルタージュのボーダーラインは、そのまま別の価値観に置換できるような気もした(けど今さっき忘れた)。

1枚1枚のカット、シーンには非常に説得力があり、それらがリングで綴じられたポストカードの束のようにしてめくられていく。都合が合わず見られなかったが、ビデオインスタレーションを別で行うことができたのもこの作品らしいのではないだろうか。

しかしさすがに「映画の21世紀はここから始まる」(H氏)っていうのはいくら何でもどうかと思いますけどね。真に迫るものはあるとして、この作品が歴史的に何らかの役割を果たしているのか。その辺は評論家にお任せしますがとりあえずヤクきめすぎの内容に滅入りました。純粋にそこが厳しかった。