消しゴム頭

監督第一作であるがしかし、リンチの作品の中ではもっとも異色の要素が強い。そのあとの作品に通じる「主人公の夢想する世界で展開する世界と通常の世界との対比」が見られる一方で、近作ではドラマ性を重視することで薄れてきている（むしろ皆無と言ってもいい）ビデオアート的な表現手法がふんだんに取り込まれている。
劇中登場する造形の細やかさ、コンセプチュアルな美術の数々には本当に頭が下がる。作品への拘りが高じて見るものに恐怖心（ある種の感動）を植え付ける一級品を生み出しているという構図は、ひとつのアートに他ならない。