今も昔も決して想像がつかない日本映画

早稲田松竹にて、長谷川和彦監督作品特集。特集といっても'76年以来監督作品が2本しかないので、必然的にその2本立てということになる。『青春の殺人者』は何度も見ていたけれど、スクリーンでははじめて。最初に映画館で見たらトラウマになったんじゃないかという気さえする。
太陽を盗んだ男 [DVD]
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2本目は今回が初見の『太陽を盗んだ男』。ありとあらゆる部分で崩壊寸前の緊張感が常に保たれていて、最早狂気の沙汰、あるいは常軌を逸しているというのが正直な、あるいは率直な賛辞にあたるだろう。
脚本の奇抜な設定・表現、今では企画の段階で落とされるであろうロケーションの数々などに、日本はとても自由な国だったんじゃないかと思わせられる、数十年前のある意味平和な状況をまざまざと感じる。『青春〜』とちがって『太陽〜』はCSでも放映されることがないということ自体、時代の変化に伴って生じた文化的な乏しさを象徴しているのではないだろうか。