シンプリシティについての一考察

エリ・エリ・レマ・サバクタニ 通常版 [DVD]
エリ・エリ・レマ・サバクタニ 通常版 [DVD]
そもそもがはじめから単純な構造を持ったストーリー。その構造に悪意はない。無邪気な中原昌也の健闘がその中で唯一印象に残る。宮崎あおいはほぼ無演出状態に感じる無印象。浅野はいつもの通り。たむらまさきキャメラもいつもの弛緩した調子。といった感じで、昂揚感に欠けるがそんなものはハナから意図されていない状況。見る側は何をもってこの作品に対峙するべきなのか、しばし混乱をきたす可能性が大いにある。自分も公開当時テアトルか、バウスシアターだったかに見に行ったが、つかみ所のないまま劇場をあとにしたのを覚えている。
「ある特殊な音楽だけが人を救うことができる」というテーマを軸に、ノイズミュージックが持つ茫洋としたサウンドの展開、それを作品にメタファライズしたのであれば相当レヴェルは高いだろう(青山真治ならやりかねない)。その手のむつかしい評論は他所に譲ります。