「こうしなきゃいけないなんてこと、ないんやで」

「BLOW UP」はamazonでは品切れ中、シブヤTSUTAYAでも見当たらず。長期戦になりそう。
できればイタリア映画にしたかったのだけれど、マストロヤンニの追憶は何となく気が進まなかったので、今日は他の候補から「殯の森」をチョイスしてユーロスペースへ。席を確保してロビーへ出たら、同じ時間に隣のスクリーンでかかっていたロバート・アルトマンの作品を見に来ていた中原昌也氏を発見。6月末にセッションハウスに来てたときと同じ服装だった。
殯の森 最新情報
本編中、奈良の美しい畑や森の風景、押しつけでない程度に主張される手持ちカメラのぶれ、ナチュラルビューティーでかつ、おそらく監督にスパルタされたのだろうと思われるストイックな芝居をする尾野真千子、それらをリラックスして眺めつつも、脳裏ではカンヌ授賞式での河瀬監督のある種異様なスピーチがリフレインしていて、食い入るようにそれを見つめる尾野真千子と羽織袴のうだしげきのアップの切り返しが時折カットインしてきていた。
なぜ人間は生きているのか、何のために生きているのか、何に生き甲斐を見いだすのか、という深遠なテーマに対して彼女なりのスタンスで真摯に挑んでいて、考えるところが多い。ただ、国内での配給側の評価はやはり「客が入るかどうか」で判断されていることが苦々しく、そのことに改めて絶望感を覚えた。全国公開はしているけれど、なぜ東京ではユーロスペース単館で、しかもレイトショーなのか。万人受けの「万人」とはいったいどこにいるのか。とか。